一生物の時計
最初、機械式時計を購入する際には、デザインの好みを最優先し、それに加えて、頑丈で長く使えることを条件としていた。その頃、ムーブメントに関する知識はほとんどなく、ムーブメントを気にすることもなかった。
それが、徐々にムーブメントが気になるようになり、時計選びの条件に変化が生じた。これ自体は、悪いこととは思わない。ムーブメントは時計の中では重要な要素である。でも、1つの要素にすぎない。
一生物の時計を買おうとする場合、時計選びは慎重になる。ブランドイメージやムーブメントを軽視して高額時計を購入するのは難しいことだ。出来るだけ自分の理想をかなえる時計を探すことになる。
しかし、一生物として理想を積み重ねた時計は、本当に好きな時計なのか?
そもそも、一生物の時計とは何だろうか。傷が付かないように大切に保管し、時々眺めて喜ぶような時計なのか。これなら、壊れることは考え難いので、一生使える可能性は極めて高い。
それとも、傷だらけになりながらも、毎日肌身離さず使用して、完全に自分に馴染んでしまった時計なのか。使えば壊れる可能性があり、数十年後には修理不能となるかもしれない。
一生物の定義は、人によって違う。それでも出来る限り、壊れた時には確実に修理を受け付けてくれる時計を買うべきだと思う。
でも、一番大切なのは、使う人がその時計を本当に好きであること。好きでなければ使わなくなる。好きなら必ず大切にする。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
初めてコメントさせていただきます。
僕は高校生ですがこの10年間、バイトやお年玉でコツコツためてきた20万円で一生ものの時計を買おうと思っていました。
そして、「一生ものの時計ってなんだろう」とずっと悩んでいたときにこの記事を見つけました。
この記事を読んで僕の「物」に対する考え方が変わりました。
僕は壊れる可能性が高くても「毎日肌身離さず使用して、自分に馴染んだ一生物の時計」を目指たいと思います。
本当にありがとうございました。
投稿: しら | 2010年6月19日 (土) 20:32
しらさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
5年前に書いた内容を今読むのは、少し恥ずかしい気がしますね。
でも、基本的は考え方は、今でも変わっていないと思います。
むしろ、素直な気持ちで好きな時計を選ぶことの大切さは、以前にも増して強く感じるようになっています。
しらさんが、素敵な時計に出会えますよう、お祈りいたします。
投稿: royalblau | 2010年6月19日 (土) 23:10